殺人ゼリー
こんにゃくゼリーの規制に反対する人の気持ちはよく分かる。こんにゃくゼリーなんて老人や子供に食わせる方が悪い。どうかしている。ご尤もだと思う。
では、どうして、そう思えるのか。それは、こんにゃくゼリーが、ゼリーよりもかなりこんにゃくに近い食べ物であるということを、既に知っているからだ。ゼリーであれば何も問題はない。しかし、こんにゃくゼリーは、ゼリーよりもこんにゃくに近い食べ物である。老人や子供であれば時に喉に詰まらせることもあるだろうことは容易に想像が付く。では、どうして、こんにゃくゼリーがゼリーよりもこんにゃくに近い食べ物であることを知っているのか。それは、こんにゃくゼリーを食べたことがあるからだ。
日本では、少子化とはいえ、毎年百万人の子供が生まれている。その百万人の子供が、いずれ初こんにゃくゼリー体験を迎えるわけだが、当然彼らはこんにゃくゼリーがゼリーよりもこんにゃくに近い食べ物であるということを実体験としては知らない。長年の啓蒙の成果から、子供にこんにゃくゼリーを食べさせない親は増えているだろう。そうなると、こんにゃくゼリーがゼリーよりもこんにゃくに近い食べ物であることを実体験として知らずに大人になり親になる者も増えてくるだろう。こんにゃくゼリーがゼリーよりもこんにゃくに近いことを実体験として知らない親には、こんにゃくゼリーを子供に与えるとどうして危険なのか、その実感がないことになる。こんにゃくゼリーがゼリーよりもこんにゃくに近いことを知らない親は、日々の忙しい暮らしの中で、初めて購入したこんにゃくゼリーをうっかり子供に与えてしまうかも知れない。これはつまり、啓蒙の結果として、啓蒙以前の誰もがこんにゃくゼリーを食べたことがなかった時代に近い状況を作り出してしまうということになる。啓蒙の結果として、潜在的な危険が増す場合もあるということだ。
少し想像してみて欲しい。仮に、もしこの先、こんにゃくヨーグルト、こんにゃくプリン、こんにゃく豆腐といったような、こんにゃくを使った新食品が発売されたとしたら、これらを初めて食べる時に、まるでヨーグルトのように、まるでプリンのように、まるで豆腐のように、これらを噛まずに飲み込んでしまうことはないと言い切れるだろうか。
こんにゃくゼリーを規制するなら、まずはその前に最凶の殺人食品である餅を先に規制すべきだという意見があるが、誰もこんにゃくそのものを規制しろとは言っていない。喉に詰まりやすい食品だから問題があるわけではない。こんにゃく「ゼリー」だから問題なのだ。
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